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M3の喜び
M3の位置づけはどのくらい特別なのか。2008/06/29


運転してみると
メーター周辺(クリックで拡大)運転席に乗り込んでみると、真っ先にカーボンのようなそうでもないようなトリムパネルが目を引く。よく見ればステッチが入っている。これはドライカーボンとかなんとか、そういうものではない。あとで確認すると、どうやら革を織り合わせて出来上がったテクスチャらしい。カーボン模様に起源を置きながらタッチのやさしい革を使うというのは、完全に発想の勝利。いろんな世界でいろんな組み合わせによる新提案が出尽くした感があるが、まだまだ新しいものは生まれる。

運転席を助手席側から(クリックで拡大)シートに着く。いつもMのシートに座って思うのは、なんでこんなにぴったりと体にフィットするんだろうということ。シャシー形状、素材、その分割位置、クッションの配分。全てが完璧。このシートだけでも標準車とは目指す高さがずいぶんと違うことがわかる。これはたぶん助手席に着いたところで同じ感想になるのではなかろうか。キーを差し込むと、シートベルトのエクステンショナーが延びてきて、ちょうど手の届く位置にベルトが用意される。

いまどきのMT車はクラッチペダルを踏み込んでおかないとエンジンが掛からない。プッシュスタート。なんかこう、「エンジン掛けたぞー!」と叫びたくなるような感動はない。だからドキドキも特にない。逆に言えば、そこまでの覚悟など求められようもない。ただし、後で外にいて聞こえてきたエンジンの始動音はずいぶんと刺激的。圧縮比12.0のアイドリングは「ガバガバガバガバガバ」。4気筒で同じことをするとディーゼルのようだと揶揄されるあの感じをもうちょっと極端に考えてもらえば、いいのか?(笑) あ、心配しないでください。暖まるとEGRバルブとかが閉じて、静かになります。

さあ、動かすぞと1速に入れ、クラッチを繋ごうとすると、おっと繋がった。すぐに離す。結構遊びがなく感じるが、違和感はない。つまり、こういう指摘を受け入れられない方がいっぱいいらっしゃると思うが、E46の318iはMTのクラッチペダルとほぼ同じフィーリングなのであります。

道路に出てすぐ、そこそこの坂を登る。どのくらい踏めばどのくらい加速するかわからない状態でとりあえず踏み込む。335iでは空気が力任せに圧縮されていく感じを覚えたが、こちらは空気を切り裂く感じ。ただしあいにくの雨。ほとんどジャダーの嵐。とはいえ、どちらかというと演出のような感じで、リアが跳ねて不安になるような安っぽいフィーリングはかけらもなかった。POWERスイッチがONになっていたので切る。雨で馬力出しても意味ないですから。

フロントブレーキ(クリックで拡大)一方ブレーキ。こちらはなかなか難しい。利きを重視したためではないだろうが、プログレッシブな特性。踏力に対して利きの変化が大きい。ある程度の慣れが必要だろう。これに慣れる前にクルマのせいにして自分の感性に合わせた車が出来上がった結果、BMWではないオレ流の何かになっていいなら別にいいけど。止めない止めない(笑)。ボクは試乗が終わる頃には慣れてましたけど。

とりあえず、速いクルマがどれぐらい速いか調べるのはいくつか問題がある。結構なウェットコンディション。人様のクルマ。公道。それ以上に、ある程度以上速いクルマが速いことを検証してもほとんど意味がないということ。そこで、サウンドや乗り心地など、個人差の出る部分を評価しようと思う。

通常V8エンジンを搭載したセダンは、低音を消して軽やかなサウンドに振る。ワルを気取るクルマは低音に振る。BMWでいうと、6シリーズの感じですかね。このクルマは、一部に熱狂的なファンを持つあのスポーツカーのようにソプラノを狙う方向ではない。Mの音。確かに音は高いが一本ではない。がさつということではなく、うまく制限された感じ。荒めのディストーションを掛けたテレキャスターの音って感じですか。ロックにもいろいろありますが、間違いなくロック系です。オペラ系ではございません。

運転席周辺(クリックで拡大)とにかく操作系が体に馴染む。自分の車がATになってもう5年以上経つが、古巣に戻った感じで、ステアリングの利き具合、スロットルの開き具合に対するパワーの出方、ちょっと渋いシフトレバー(笑)。「ただいま」と言いたくなる。BMWとして捨てた、でも捨てるべきではなかったと思える部分がこのクルマには残っている。じゃあこのクルマは318iのノリで運転できるのかい?と問われれば、まあそんな感じと答えられる。これは悪いことではない。逆に318iより乗りやすい。E46のM3は、とにかくじゃじゃ馬という評判だったそうだが、このクルマの乗りやすさといえば、このクラスで比較できるクルマはないんじゃないだろうか。跳ねない乗り心地は、ランフラットではないタイヤの影響もあるだろう。それら以上にとにかく印象として一体感が強い。過激なスペックのクルマのはずなのに、自分の足で走っているかと思えるほど、クリアで爽やかな気分になる。すっぱいクルマや甘いクルマ、辛いクルマ、いろいろあるが、このクルマは北アルプスの伏流水をボトリングしたミネラルウォーター。オーナーの味が強く影響する走りになると予想する。

1,000万円。妥当です。900万円じゃない。1,100万円でもない。このクルマは1,000万円のクルマです(車両本体価格:税込み1,003万円)。

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