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500万円前後のセダン選び
レジェンド・フーガ・3シリーズを徹底比較 | 2005/06/02 |
■フーガに垣間見える日産風味
全長×全幅×全高は4,840×1,795×1,510(mm)。クラストップレベルである2,900mmのホイールベースが効いて室内長は2,100mmを超える。また全幅が3台の中で一番不利な値にも関わらず、室内幅は1,535mmと一番有利な値になっている。なおこれらの数字はGTグレードであっても変わらない。フロントビューはヘッドライト、ラジエーターグリルとバンパー開口部がGT系とは異なるが、XVのほうが精密な印象だ。
フーガのサイドビューは、どっしりとした重厚感あふれるスタイリングで、衝突安全性に優れている印象もあり、安心感を生む。前後のオーバーハングも短く、重厚だが敏捷性を損ねていないようにも見える。レジェンド同様、フーガもタイヤの外径が大きいが、タイヤの外径が大きくなるとタイヤ接地部の面積が増え、タイヤグリップや耐久性などに貢献するとともに、実効的なロールセンターが上がり、コーナーリング時の安定性を向上させるメリットがある。ただしタイヤサイズの拡大に伴うバネ下荷重の増大は、トラクション性能や乗り心地に悪影響を及ぼす。回転慣性も含めて実測してみたいところだが、この点においては350GTのみに用意されるスポーツパッケージの19インチリムに分があるかもしれない。
後方から眺めるとGT系のLEDで形成された円二つに対し、コンベンショナルな電球式のコンビネーションランプにふと気が付くはずだ。GT系よりも落ち着いた雰囲気が得られ好感が持てる。ナンバープレート上部のモール部分にカメラが設置されており、ATをRレンジに入れた際、ナビゲーション画面にガイド用のカラーラインとともに後方画像が表示される。二次元画像であるが、カラーラインのおかげで遠近感はつかみやすくなっており、また目視では確認しようのない場所が見えるので安心だ。クルマの前後で幼児やお年寄りが轢かれる事故をたまに耳にするが、そんな不幸は避けられるものなら避けたいものだ。なお、左ミラー付け根にもカメラが設置されており、左ギリギリの幅寄せの際重宝するだろう。バックビュー機能と共に標準装備なのが嬉しい。
フーガのエンジンはパワフルだが、むしろトルクの大きさが効いている。アイドリングの状態で既に2.5Lエンジンの最大トルク並みの力が出ている。そのためか、ATをDレンジに入れる際のショックはかなり大きめだ。ニュートラルで停止する習慣を持つドライバーは一考する必要があるだろう。走行時のAT特性については、変速時の回転同調機構により、特にエンジンブレーキを掛けるためにマニュアル操作で1速落とす場合に、キビキビと、かつ滑らかに変速される。325iにもこの機構は装備されているが、どちらも限界走行を自分の領域として真剣に考えている現れだろう。エンジン自体は高回転まで回してもスウィートなフィーリングとは言えないこともあって、ゆったりとトルクで走りたくなるエンジンだ。5ATの操作性自体は良好。操作する腕がどこにも当たることはなかった。
フーガはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。アームはすべてアルミ製で、コストを掛けてある。350GTのスポーツパッケージ車両にのみ、リアに新世代のHICAS「リヤアクティブステア」を装備するが、それ以外のすべてのグレードには装備されない。日産関係者の言によれば、XVとGTの足回りに関しては、特にセッティングに差分を持たせていないということであった。そこでシートのセッティングを変えてXV流を実現しているのだろうが、ここは素直にXV向けのサスペンションセッティングを行うか、グレード体系の見直しが必要だろう。車体はしっかり走っているので、走行状態に関するインフォメーションは得られるが、いずれにしても、もう体に入ってくる直前で帳尻を合わせるような時代ではないはずだ。

ドアロックはキーモジュールを持っていればドアハンドルのボタン操作で開錠できる。夜になればわかりやすいが、ドアを開けると室内灯が順番に点灯していく。そしてドアを閉めるとメーターに火が入る。ブレーキペダルを踏んでプッシュボタンを押せばメーターが反応しエンジンが掛かる。シートが自分の位置に動く。この部分はフーガとしての美意識を感じるところだ。スバル風なメーターニードルのダンシングも、この流れの中でなら自然に受け止めるだろう。
価格的に他車より安価な分、いろいろなオプションを組み込んだ状態で比較すると有利な立場に立てるのがフーガだ。それを実現するオプションが数多く用意されている。もうすぐ発売されるV8モデルの登場で、フーガのキャラクターはより明瞭なものになるだろう。そのとき、そのキャラクターが気に入ったなら、買う以外の選択肢はありえないだろう。 ※フーガの画像に見苦しい点が多いことをお詫びいたします
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